前回は、人間の行動パターンには4つのタイプがあり、目標達成には「必要な行動に接近する」ことと「不必要な行動を回避する」ことが重要だとお話ししました。今回は、どのようにして「必要な行動に接近」し、「不必要な行動を回避」できるのか、その具体的な方法について深掘りしていきます。
脳の反応速度がカギを握る
私たちの脳は、外界からの刺激に対して、瞬時に反応します。例えば、美味しいものを食べた時、脳は快を感じ、幸せなホルモンを分泌します。逆に、嫌なことがあった時、不快を感じ、ストレスホルモンを分泌します。
この脳の反応は、大脳辺縁系の扁桃体が「快」か「不快」かを判断し、脳幹がそれに応じてホルモンを分泌することで起こります。そして、その情報が大脳新皮質に伝わり、思考や感情が形成されます。
重要なのは、この一連の反応が非常に速いということです。脳幹が反応して思考が形成されるまでには、わずか0.5秒しかかかりません。
0.2秒の差が行動を左右する
以前、私は「脳は入力よりも出力を信じる」という話をしました。つまり、「必要な行動に接近する」ためには、脳が「不快」と判断する前に、0.2秒というわずかな時間で「プラスの出力」をすることが重要なのです。
例えば、上司から面倒な仕事を依頼されたとします。この時、嫌な気持ちになり、「面倒だな」と思ってしまうと、その後の行動もネガティブになりがちです。しかし、「やります!」と即座に返事をすることで、脳は「プラス」の情報を優先し、前向きな思考に切り替わります。
スポーツ選手も実践している!
高校生の部活動でよく見られる光景ですが、監督の指示に対して選手が「はい!」と元気よく返事をするのも、同じ原理が働いています。まだ指示の内容を完全に理解していない場合でも、まずは「やる!」という気持ちを持つことで、練習に対するモチベーションを上げることができます。選手が話を聞いてきちんと理解しているかどうかは別の問題になりますが、感情をマイナスにせずに練習に取り組むという意味では実は効果がある行動になります。
「不必要な行動を回避する」には?
逆に、「不必要な行動を回避する」ためには、反応速度を遅くすることが大切です。
例えば、ダイエット中に甘いものが食べたくなった時、すぐに食べてしまうと、後悔する可能性があります。そこで、一旦深呼吸をして、0.5秒以上時間をおいてから判断することで、冷静に考えられるようになります。
【ポイント】
- 脳は、刺激に対して約0.5秒で思考を形成する。
- 「必要な行動に接近する」には、0.2秒以内にプラスの反応をする
- 「不必要な行動を回避する」には、反応速度を遅らせる
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