私たちの行動は、脳が感じる「快」と「不快」に大きく左右されます。人は快を求め、不快を避けるという基本的な性質を持っています。この仕組みを理解し、うまく活用することで、望ましい行動を習慣化し、望ましくない行動を減らすことが可能になります。
望ましい行動を促すための「接近行動」
人が何かを始めるとき、手間がかかることやハードルが高いことは、脳にとって「不快」として認識されやすくなります。そのため、望ましい行動を促進するには、その行動をできるだけスムーズに始められるようにすることが重要です。
例えば、運動を習慣化したい場合、運動用のウェアを前の晩に準備しておく、または運動後の爽快感を意識することで、脳に「快」の感覚を与えることができます。読書の習慣をつけたいなら、読みたい本を手の届く場所に置き、読む時間をあらかじめ決めておくと、行動のハードルが下がります。このように、「すぐにできる環境」を作ることで、望ましい行動への「接近行動」が促進されます。
望ましくない行動を避けるための「回避行動」
一方で、やめたい習慣や行動がある場合、それを「しにくくする」ことが効果的です。たとえば、スマートフォンをつい見てしまうなら、通知をオフにする、手の届かない場所に置く、使用時間を制限するアプリを入れるなどの工夫ができます。
間食を減らしたい場合は、お菓子を目につかない場所に置くか、そもそも買わないという選択をすることで、「手間がかかる＝不快」と脳に認識させることができます。こうすることで、望ましくない行動を減らす方向に脳を誘導できます。
言葉の力を活用する
脳は「思い」よりも「言葉」を信じる性質を持っています。つまり、望ましい行動を促進するためには、それに対してポジティブな言葉を発することが有効です。
たとえば、「運動は面倒だ」と思いながら続けるのではなく、「運動をすると気持ちがすっきりする」「健康になれる」と言葉に出してみると、脳がそれを信じるようになり、行動しやすくなります。
逆に、避けたい行動にはネガティブな言葉を使うと効果的です。「間食はストレス解消になる」と考えるのではなく、「間食は健康に良くない」「食べ過ぎると気分が悪くなる」と言葉に出すことで、脳が「不快」と認識しやすくなります。
まとめ
望ましい行動を定着させるには、
- すぐにできる環境を整え、行動のハードルを下げる（接近行動）
- 望ましくない行動をしにくくする環境を作る（回避行動）
- 言葉の力を使い、脳に適切な認識をさせる
これらを意識的に実践することで、脳の特性を活かし、自分の望む行動をコントロールしやすくなります。脳の快・不快をうまく利用し、より良い習慣を身につけましょう。
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