山崎監督の哲学と選手の可能性 - バスケ×SBTメンタルコーチのブログ@佐々木瑛

負けや失敗を成長に変える視点

全中で3連覇を成し遂げた四日市メリノール学院中学がジュニアウインターカップの準決勝で琉球 U15に敗れた際、山崎監督がエースであるジャック君への思いを語った言葉が非常に印象的でした。彼のコメントから、単なる試合の勝敗を超えた深い教育的な哲学を感じました。

山崎監督はこう語っています。

「相手のチームに負けるということは、僕は全然負けだと思っていない。心の中にある弱い自分に負けたりとか、俺は背が小さいとか、能力がないとかいうのが本当の負けだと思うので。ジャックにとってはいい負けだったと思います」

さらに続けて、こう話されました。

「このままでは次の育成年代に行くときに強化という側面だけで見れば、今日のゲームも勝ち方はあったかもしれません。しかし強化と育成という両面から考えたとき、育成もしたいし、ジャックの強化もあるし、ジャックに悔しい負けを教えてあげることも僕の仕事かなと。だから終盤、逆転が難しいかなと思ったときに、ジャックが悔し涙を流せるようなシチュエーションを持っていったつもりです」

これらの言葉には、試合の勝敗以上に、選手一人ひとりの成長や未来を見据えた視点が表れています。目の前の結果に一喜一憂するのではなく、負けや失敗を成長の糧にすることの大切さが伝わってきます。

負けや失敗をどう捉えるかが成長の鍵

多くの人はどうしても目の前の結果にこだわる傾向があります。試合に勝つこと、目標を達成すること、成功を手にすること。これらは確かに重要ですが、目の前の結果だけに執着すると、長期的な成長の機会を見逃してしまうことがあります。

一方で、負けや失敗をどう捉え、次につなげるかは非常に重要です。特にスポーツの世界では、負けや失敗は避けられません。しかし、それらを単なる「挫折」として終わらせるのではなく、「経験」や「学び」に変えることができれば、大きな成長につながります。

山崎監督が試合の終盤でジャック君に悔し涙を流させるシチュエーションを意図的に作ったのも、まさにそのためだと思います。このような指導は、短期的な勝利よりも長期的な成長を重視する姿勢を示しています。

先を見据えた指導と行動の重要性

SBT（Super Brain Training）の考え方でも、「先にイメージを飛ばすと、身体は後からついてくる」という指導をしています。この考え方は、目の前の事柄に全力で取り組むことと、未来の目標を見据えて行動することの両立を重視しています。

未来の目標を意識せずに、ただ目の前の事柄に取り組むのと、未来のビジョンを持った上で目の前のことに向き合うのとでは、結果もプロセスも大きく変わります。例えば、目標達成後の自分を具体的にイメージすることで、行動に一貫性と持続性が生まれます。指導者としても、選手が未来を描けるようなサポートをすることが重要です。

山崎監督の指導には、まさにその視点がありました。目の前の試合に勝つことだけでなく、次のステップに進むための準備や、自分自身の限界を知る機会を提供すること。これは選手の未来に大きな影響を与える指導です。

結果だけでなくプロセスを大切にする

試合や目標の達成は、あくまで一つの通過点です。その過程で何を学び、どのように成長したかが本質的な価値を持ちます。特に育成年代では、勝利よりも成長が重要視されるべきです。勝つことだけにこだわりすぎると、選手の可能性を狭めてしまうリスクもあります。

指導者として、目の前の結果だけではなく、その先を見据えた指導を意識することが求められます。そして選手自身も、目標を見据えた行動を心がけることが重要だと思います。

まとめ

負けや失敗は、ただの「終わり」ではなく「始まり」です。それをどう受け止め、次にどう生かすかが成長の鍵になります。山崎監督の指導に学ぶように、私たちも目の前の結果だけでなく、その先を見据えた行動や指導を心がけたいものです。そして「先にイメージを飛ばし、身体が後からついてくる」という考え方を大切にしていきたいと思います。

＜引用文献＞

www7.targma.jp