勇気と進化 - バスケ×SBTメンタルコーチのブログ@佐々木瑛

現状を壊す勇気が、次のステージへの鍵となる

最近、私自身がコーチングに取り組む中で、特に強く感じているのは「現状を壊すことの重要性」です。これは決して現状に対する否定ではなく、「今のままでは届かない目標がある」からこそ、あえて壊すという決断をしなければならない場面があるという意味です。

2部優勝という結果から見えた次なる課題

今月、私が指導している大学男子バスケットボール部が、北信越2部リーグで優勝し、1部への昇格を果たしました。この結果は、選手たちが本当に努力を重ね、チームとしての方向性がひとつにまとまった証でもあり、非常に嬉しく、誇らしい瞬間でした。

しかし同時に、「このままのやり方では1部で勝ちきることはできない」という現実にも直面しました。選手の技術レベル、チームの戦術理解、フィジカル面、メンタル面――どれをとっても、1部で優勝を狙うには“次の段階”への進化が求められるのです。

脳は現状維持を好む

変化を与えることの必要性は理解していても、それを実行に移すのは容易ではありません。なぜなら、人間の脳には「現状維持を好む」という性質があるからです。これは人間の生存本能とも関係していて、変化＝リスクという捉え方を無意識にしてしまうからです。

コーチングの現場でも、今のやり方である程度の成果が出ていると、それを変えることに対して無意識にブレーキがかかります。選手も指導者も、知らず知らずのうちに「今のままでいいのでは」という思考に引っ張られてしまうのです。

スクラップ＆ビルドの発想で挑戦する

だからこそ、意識的に「現状を壊す」ことが必要になってきます。いわゆる“スクラップ＆ビルド”の発想です。一度、今のやり方を見直し、時には大胆に壊して、新しい形に再構築する。これは一見するとリスクのある行為のように思えますが、実は成長のためには避けて通れないプロセスなのです。

たとえば、今までチームで積み上げてきたプレースタイルや役割分担に対しても、「これで本当にベストか？」と問い直し、必要であれば一新する覚悟を持つ。個々の選手のポジションや起用法も同様です。固定観念を打ち壊し、柔軟に組み直すことで、思わぬ化学反応が生まれることもあります。

変化は日々の積み重ねから生まれる

とはいえ、「壊す→再構築」というプロセスを一度にすべて行うのは難しいことです。だからこそ、日々の練習やミーティングの中で、少しずつ分析し、小さな変化を加えていくことが大切になります。試合映像の見直しや、練習方法の工夫、メンタルアプローチの改善など、日々改善を積み重ねていくことで、大きな変化へとつながっていきます。

また、選手自身にも「変化することの意味」を伝え、自らの中で目的意識を持ってもらうことが必要です。そうすることで、ただの“変化の押し付け”ではなく、“自分たちで進化していく”という主体性のあるチームづくりが可能になります。