明るいチームの秘訣:『強いチームはなぜ「明るい」のか』を読んで考えたこと
少し前に読んだ吉岡眞司氏の『強いチームはなぜ「明るい」のか』(幻冬舎新書)。2023年、慶應義塾高校野球部のメンタルコーチとして、甲子園優勝に導いた吉岡氏の著書です。この本を通じて、チームの「明るさ」がどれほど重要かを再認識しました。昔は「強いチーム=厳しい」というイメージが一般的でしたが、その価値観が変わりつつある今、改めて「明るいチーム」の意義を考えてみました。
明るいチームの定義とは?
吉岡氏は「明るいチーム」について次のように述べています。
「それは、成果を挙げているチームは「明るい」ということ。ここでの「明るい」とは、おちゃらけていたり、意味もなく騒いだりしている、という意味では決してありません。練習はつらいことや苦しいことも多いですし、監督やキャプテンから時に厳しい声が飛ぶこともあります。それでも、チーム全体が活気にあふれていて、良い緊張感があり、部員たちが主体性を持って、今行うべきことに集中している──この状態を一言で言い表すのは難しいのですが、「雰囲気がいい」のです。」
つまり、「明るさ」とはただ楽しいだけの雰囲気ではなく、緊張感と集中力が調和した活気のある状態を指しています。その背景には、選手一人ひとりが主体性を発揮できる環境づくりがあります。
明るい雰囲気が生む成果とは?
ビジネスにおいても「明るさ」は重要です。吉岡氏は次のように述べています。
「会社の仕事で『明るさ』は必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいても、明るい組織やチームは、上司・部下にかかわらず気軽に話せる雰囲気があるので、相談がしやすく情報共有が円滑に進みます。時には雑談に興じながらも、一人ひとりが仕事に集中し、メンバー個々が高いモチベーションを保ち、主体的に動くので、高い実績を挙げることができるのです。」
これはスポーツチームだけでなく、職場や他の組織にも当てはまります。「心理的安全性」が確保されている環境では、メンバーが積極的に意見を出し合い、互いに支え合いながら成長できます。この「明るさ」が長期的な成果に繋がるのです。
本当の厳しさとは何か?
本書を読んで考えさせられたのが、「本当の厳しさ」とは何か、ということです。一見、指示されたことを全力でこなすのは厳しいように見えますが、実は自分で考えずに済むため楽な方法でもあります。
重要なのは、自ら課題を見つけ、解決策を考え、実行する「自律」と「自立」を促すことです。選手が主体的に行動するための環境を整え、トップダウンではなくボトムアップのアプローチを重視することこそ、本当の厳しさと言えるのではないでしょうか。
楽しさがパフォーマンスを高める
吉岡氏が述べる「明るいチームを作る理由」にも深く共感しました。
「結局のところ「暗いチーム」では長続きしないからです。やっている本人たちが楽しくない、ワクワクしない状況で無理に頑張らせても、短期的には可能かもしれませんが。長続きしません」
脳は正しいことよりも楽しい事しか続かないという仕組みがあります。これはチームだけでなく個人にも当てはまります。義務感やプレッシャーだけで行動していると、脳はストレスを感じ、最大限のパフォーマンスを発揮できません。一方で、「楽しさ」や「明るさ」を感じると、脳からは快楽ホルモンのドーパミンが分泌され、行動への意欲が高まります。
おわりに
吉岡氏の言う「明るいチーム」の考え方は、私自身のコーチングのスタイルにも多くのヒントを与えてくれました。「厳しさ」と「明るさ」のバランスを取りながら、選手が主体性を持って取り組める環境を作り出したいと感じています。スポーツだけでなく、職場や家庭にも通じるこの考え方、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
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